研究概要 |
阪神・淡路大震災でも再認識されたように,災害や事故等で道路網の一部が機能停止あるいは機能低下した場合でも,ネットワーク全体としては確実で安定した交通サービスをできる限り保証する,いわゆる信頼性の高い道路ネットワークの構築と運用を行うことが重要となっている.道路ネットワークの信頼性が低下する可能性がある場合,ネットワーク信頼性を維持あるいは向上するためのキーとなるリンク,あるいは代替経路を構成する中でも重要なリンクが存在する.このリンクを知ることができれば,効率的なネットワーク強化(耐震性強化)とその強化戦略に合理的な根拠を与えることができる. 以上の目的のため,本研究では道路網の信頼性を評価した上で,ネットワーク構成リンクの重要度を評価できる方法の開発と実証分析を目的としている.このため本研究では,道路網信頼性解析法を, 1)大規模道路網でも適用可能で, 2)しかも交通フローの変化を内生的に取り扱えて迂回交通量の影響も考慮できる, 評価モデル構造としたうえで,リンクの重要度を定量化できる方法を開発した. 得られた成果のうちいくつかは論文として発表している.まず,災害時道路システムの信頼性向上のための重要区間評価法の開発を扱った研究である.阪神地域を対象とした既存道路網と将来道路網に対し,本研究で開発した信頼性解析法と重要区間評価法を適用し,ネットワークの信頼性評価と重要度評価を行った.さらに,これらの研究を発展させたもので,実際の交通量配分に基づいてネットワーク信頼度と確率重要度を求めた研究と,交通工学的観点と地震工学的観点を結合し,地震ハザード,構造物フラジリティ,道路ネットワークを結合してネットワークの総合的信頼度評価および重要度評価をしようとした研究である.後者は現在もなお研究が継続中である. 以上の成果は,2カ年の成果報告書として報告している.
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