研究課題/領域番号 |
10650539
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
土木環境システム
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研究機関 | 大同工業大学 |
研究代表者 |
堀内 将人 大同工業大学, 工学部, 助教授 (00157059)
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研究分担者 |
米田 稔 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40182852)
森澤 眞輔 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50026340)
下島 榮一 大同工業大学, 工学部, 教授 (80027276)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1999年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1998年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 土壌酸性化 / 樹木衰退 / 野外調査 / アルミニウム毒性 / マグネシウム欠乏 / ライミング / カラム実験 / モデル解析 / 調査 / 交換性陽イオン / 間隙水水質 |
研究概要 |
本研究で得られた主要な結論を以下に要約する。 (1)六甲山系で樹木衰退度の異なる12地点で土壌を採取し、土壌および間隙水の化学特性を分析した。多くの土壌pH(H20)ならび間隙水pHが4前後を示すこと、塩基飽和度はほとんど10%以下であること等から、六甲山系の土壌は樹木衰退度に関わらず土壌の酸性化が進行していることが分かった。 (2)樹木の衰退と関連があるとされる土壌特性をいくつかピックアップし、各調査地点の土壌酸性化度に関するランク付けを行った。その結果、土壌の酸性化が顕著であり樹木に影響を与えやすいと診断された地点と、実際の樹木衰退とは比較的良い一致を示した。 (3)名古屋市において土壌酸性化が見られる地点として熱田神宮を選定し、境内で樹木衰退度の異なる4ヶ所から土壌を採取し化学特性を分析・定量して、土壌酸性化と樹木立ち枯れとの関連について考察した。その結果、樹木の立ち枯れが見られる地点(2)が他の地点よりもpH(H20)が低く、土壌が強く酸性化していることがわかった。 (4)間隙水pHも土壌pHと同じく地点(2)の土壌に低い数値がみられた。中でも枯損木周辺土壌の間隙水pHが低い。間隙水中の栄養塩濃度も、地点(2)の土壌が他の土壌よりもはるかに低いことがわかった。 カラムを用いた土壌酸性化加速実験から、地点(2)で今後土壌の酸性化がさらに進行すると、Al濃度が急激に増加し樹木への影響がさらに顕著となる可能性が高いことを示した。 (5)ライミングを行った土壌は、ライミングを行わなかった土壌と比較して塩基飽和度が大幅に向上する正の効果が現れた。しかし、過剰のCaが土壌粒子に吸着されることで樹木に必要な元素であるMgまでもが土壌粒子から溶出してしまうという弊害も生むことが分かった。 (6)土壌酸性化評価モデル(修正SMARTモデル)をライミング効果が評価できるように再構築し、そのモデルを用いていくつかのシナリオのもとにシミュレーションを行った。その結果、ライミングによる直接的な酸緩衝機能よりも有機酸や微生物等による、酸性化の進行程度が与える影響の方が強いということ、すでに酸性化が進行している六甲山系の土壌の場合、酸性化の進行が激しいシナリオを想定すると、ライミングを行っても酸性化を緩和することはできないくらい土壌が酸性化していること等を明らかにした。
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