研究概要 |
対流圏の温暖化物質輸送(二酸化炭素やオゾン)や環境酸性化物質の長距離輸送研究(酸性雨),対流圏・成層圏物質交換過程(オゾン等)の研究には,地域気象モデルと物質輸送モデルが重要な役割を果たす。これらの現象は相互に強く関係しておりモデル研究においては,個々の事象を独立に扱うのでなく,物理・化学現象の共通部分の統合化を行い,総合的なモデルの開発と応用を積極的に進める必要がある。また,物理・化学過程の統合化を進めることは,研究を効率的に進める上でも極めて重要である。そのため,地域気象モデルと物質輸送モデルの統合化が必要である。 本研究ではコロラド州立大学で開発された地域気象モデリングシステム(RAMS,Regional Atmospehric Modeling System)を発展させ、 1)地域気象モデルRAMSの改良と応用の応用研究 ・多重ネステイングを導入した高空間分解能の地域気象モデルの適用と妥当性評価 ・関東甲信越地域への適用と問題点の検討 2)RAMSとオンラインで結合した次世代物質輸送モデルの開発と応用に関する研究 ・RAMSとリンクし,線形の化学反応を含む輸送モデルの開発 ・RAMSの乱流強度,大気安定度,地表面状態に対応した乾性沈着過程のモデル化 ・地域気象モデルからの雲・降水の3次元分布を加味した湿性除去モデル ・On-Line輸送モデルの季節毎の長期積分の実施と解析 ・黄砂の輸送モデルの開発と応用 を進め、従来の研究では十分に検討されなかった地域気象モデルと物質輸送モデルの包括的なインターフェースが整備され,その結果,地域規模の気候変化に伴う物質循環の変化を精密にシミュレートすることが可能となった。
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