研究概要 |
本研究では,コンクリートのひび割れ面に垂直方向の垂直荷重(引張または圧縮)と接線方向のせん断荷重が同時に作用した場合のコンクリートのクラック生成と成長およびその破壊進行領域における力学的特性を明らかにすることを目的としている。 平成11年度は第一段階として,サーボ制御システムによって垂直方向と水平方向に載荷可能な2軸実験装置を構築した。実際の構造物では,2軸方向の色々な荷重の組み合わせが考えられるため,各軸はお互いに独立に載荷できるように設計を行った。垂直方向荷重は,1000kN疲労試験機を使用し,せん断力載荷用には,疲労試験機に水平加力フレームを組み込み,高圧ジャッキシステムでコントロールする200kNジャッキを左右に設置した。さらに,破壊進行領域の材料特性を決定するためには,荷重制御試験ばかりでなく,変位制御試験も不可欠である。そのため,変位制御および荷重制御の両者の試験がクローズループサーボ制御システムを用いて実行できるように制御プログラムを作成し,予備実験により試験装置の動作確認を行った。 平成12年度では,疲労試験機を用いた変位制御引張載荷によって試験体中央部のノッチ間に規定の初期ひび割れ幅を生成させた後,せん断力を変位制御により載荷した。ひび割れ面の境界条件は,そのひび割れ幅を一定に保つ場合(変位制御せん断試験)とひび割れ面の垂直荷重(圧縮荷重1kN)を一定に保つ場合(荷重制御せん断試験)とした。両者のせん断試験結果より,垂直荷重,垂直変位,せん断荷重およびせん断変位の4者の関係を考察し,力学的モデルを提案した。 今後は繰返しせん断力,垂直荷重変動がせん断挙動に及ぼす影響を解明するための実験も必要である。
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