研究概要 |
拡底杭の鉛直支持性能に関する模型実験による研究を通じて得られた知見は、以下のとおりである。 1)拡底面下部の先端が鋭くなるほど最大耐力に至るまでの変位は大きくなり、したがって、先端部の角度により、その沈下剛性を制御することが可能である。 2)すべての実験ケースにおいて、杭軸から拡底部が広がり始める部分での圧壊により、最大耐力に至ったことが、載荷後の掘り出し観察により確認された。そして、拡底面がフラット型の場合にも杭軸部の圧壊により最大耐力に至っているが、その底面には、同心円状ならびに放射状のひび割れが観察された。 3)上記の2)において、拡底面にひび割れが観察されたが、どの時点で発生したものか不明であったため、さらに底面がフラット型のモルタル製拡底杭において、軸部での破壊荷重に対する載荷荷重の比Rが50,60,70,75,80%および100%まで載荷された計6体の掘り出し観察を行ったところ、Rが60%以上の載荷を受けた拡底杭では拡底面にひび割れが発生していることが確認できた。 4)荷重〜沈下関係によると、これらのひび割れの発生が杭の支持耐力に及ぼす直接的な影響はほとんどないと考えられるが、ひび割れの程度によっては補強筋の腐食に繋がる重要な問題である。 これらの研究を進める中で、比較実験のため拡底杭の軸部と同径の直杭の支持力試験を行い検討したところ、堅固な基盤層を想定した加圧条件下では拡底杭の支持能力に十分すぎるくらいの差があった。この結果より、必ずしも堅固な基盤層のみに拡底部先端を定着させる必要はなく、杭の沈下量が適切に押さえられるならば、さらに経済的に利用するためには、中間層に設置することも今後検討する必要がある。
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