研究概要 |
本研究の目的の第一は,コンクリート充填円形鋼管部材(CFT部材)の繰返し荷重下での局部座屈後破断における寸法効果を明らかにすることである.目的の第二は,変動軸力と繰返し曲げせん断を受けるCFT柱材の崩壊形式の実験的検証と局部座屈後破断の予測の可能性を調査することである.平成10年度は,目的の第一として,柱として実大寸法と考えられる外径355mmのCFT部材,およびブレース材として実大寸法と考えられる外径216mmのCFT部材に等偏心の繰返し圧縮引張を作用する実験(偏心距離は鋼管外径の4倍以上あるので,実質は繰返し曲げ実験)を行った.この結果を従来の小口径CFT部材の実験結果と比較検討して,CFT部材は外径が355 mm程度までは寸法効果の影響を考える必要がないこと,小口径CFT部材に対する破断予測式は荷重条件(繰返し軸力,繰返し曲げなど)に無関係に成立することなどが分かった.ただし,破断予測式は径厚比が連続量として扱えるよう修正を行った.平成11年度は,目的の第二として,水平荷重と軸力が比例的に変動して作用するCFT柱の繰返し加力実験を行った.これは側柱や隅柱を想定したものである.ここでの実験では,軸力は平均値が0で断面耐力の±20〜40%で変動した.実験結果から,破壊形式は基本的に局部座屈後破断であること,破断予測式によって破断が安全側に予測できることが分かった.ただし,これまでの実験ではCFT柱の材料や荷重条件が限定されていること,また柱鋼管の最外縁歪振幅はブレース材より通常小さいが,この範囲の実験データが少ないことなど,今後さらに実験資料を収集する余地がある.
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