研究概要 |
本研究では、高靭性コンクリートの破壊特性を把握することを目的とし、特に短繊維補強による高強度・軽量コンクリートの高靭化に関する実験を行い、高靭化に適切な作製・材料条件等を明らかにするとともに、RC部材に適用する際に必要となる各種材料特性を実験検討した。 本研究より得られた成果は以下のとおりである。1)高靭性コンクリートを軽量化するための基礎的検討として,高強度化気泡コンクリートの調合方法および比重と強度特性の関係を明らかにした。2)繊維補強された高強度コンクリートの破壊パラメータに及ぼす繊維混入量・材齢の影響を破壊力学的手法を用いて明らかにした。3)高強度化軽量繊維補強コンクリートについて、その破壊特性に及ぼす、マトリックス強度、空気量、繊維混入の影響を明らかにした。4)軽量繊維補強コンクリートを用いたパネル部材の曲げ破壊特性およびひび割れ分散特性に及ぼす繊維混入量,起泡剤添加量,母材強度等の影響を明らかにし,靭性能に優れる建築用パネル部材の作成条件を明らかにした。5)軽量繊維補強コンクリートの鉄筋の付着特性に関する基礎的実験を行い、破壊靭性試験より得られる破壊パラメータと,鉄筋の引抜き力ずれ関係との関係を明らかにし、鉄筋の付着性能を明らかにした。6)ビニロン繊維混入による高靭性軽量コンクリートのRC部材としての増設耐震壁への適用について、耐震壁の水平加力試験により検討し,その有効性を明らかにした。7)コンクリートの靭性評価パラメータに関し、既往の研究を広く調査し,今後の高靭性コンクリート開発のための材料評価方法を具体的に示した。
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