研究課題/領域番号 |
10650657
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
金属物性
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研究機関 | (財)国際科学振興財団 |
研究代表者 |
奥田 重雄 財団法人国際科学振興財団, 研究開発部, 専任研究員 (50111365)
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研究分担者 |
稲見 隆 茨城大学, 工学部, 講師 (20091853)
小桧山 守 (小檜山 守) 茨城大学, 工学部, 助教授 (80007830)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | ナノ結晶 / 金 / 銅 / 機械的性質 / 熱的安定性 / ガスデポジション法 / 硬さ / 微小硬度 |
研究概要 |
ナノ結晶は結晶粒径が10nmオーダーの多結晶体であり、粒サイズが小さいことから生ずる種々の特異な性質を示すため、新材料として注目されている。本研究ではわが国で開発されたガスデポジション法によって種々の粒サイズの金ナノ結晶を作製した。その試料を用いて種々の温度での焼鈍後、X線回折による結晶粒サイズおよび内部歪の測定、STM観察、曲げ試験による降伏歪の測定などを行った。この結果、初期の結晶粒径が10nm程度で選択方位の強いものでは、800K1時間の焼鈍まで粒成長が殆ど無いという極めて高い熱的安定性を持つことがわかった。しかし、選択方位の弱いのもでは比較的に不安定で570Kで粒成長が始まる。また、初期粒径が大きいほど不安定になる傾向がある。曲げ試験による結果も作製直後の極めて高い弾性限が、結晶粒成長が始まるまで保持されることを示した。熱的安定性はナノ結晶の実用上重要であるばかりでなく、このように異常に高い安定性は基礎的にも興味深い。この高い熱的安定性の原因は粒サイズの分布が均一であって且つ、粒界にヘリウムガスを含む孔が存在するためと考えた。 この機構を検証するためには金よりも銅ナノ結晶の方が蒸気圧の関係で適していることがわかったので、銅ナノ結晶の研究を開始した。研究はまだ進行途中であるが、現在までに得られた結果は以下の通りである。初期粒径20〜100nmの銅ナノ結晶では、金ナノ結晶の場合と同じ111面が膜面に平行な選択方位を示す試料のほかに、金では見られなかった100選択方位のものも出来た。また金と比較して熱的に不安定であり、粉末圧縮法によって作られた試料と似て、500Kの焼鈍でかなり結晶粒成長が進むことが分かった。現在、銅についても金と同様に熱的に安定なナノ結晶を作るための条件を探している。
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