プラステチックおよびその複合材料を使用する場合、使用後の処理における自然環境への影響を考えなければならなくなっている。この解決方法は、プラスチック部品の長寿命化とリサイクル方法の開発にあるといって過言ではないが、本研究では材料の長寿命化を試みた。 本研究では熱可塑性プラスチックおよびFRTPに注目した。長寿命化の妨げとなる減少は粘弾性変形である。この変形を低減する方法として繊維の充填とフジカルエージング減少の応用を考えた。供試材料は、ポリエーテルスルフォン、ポリフェノールエーテル、ポリカーボネイト、ポリエーテルエーテルケトンとポリイミドと、これらにガラス繊維、カーボン繊維を混入したFRTPである。 各種温度環境でこれらFRTPの曲げクリープ試験を行った。各材料において曲げクリープコンプライアンスのマスター曲線を作成することが可能であり、かつ温度に対してのシフトファクターは、アレニマウス型の温度時間換算則、すなわち線形粘弾性挙動を示すことが分かった。この事実より、粘弾性特性の阻止効果が繊維の量に依存することを明らかにし、これより設定した変形に対する最適混入率の材料の設計が可能であることを確認した。さらに、各種温度、加熱時間でフィジカルエージング処理を行うことにより、弾性率の向上とクリープの発現が抑制された。さらにこれら変化は、処理時間と温度に対してクリープ挙動と同様アレニウス型の変化を示すことを量的に明らかにした。以上、繊維とフィジカルエージング処理で、クリープの発生を時間軸上3桁以上遅らせることが可能であることを確認できた。これらの研究成果の発表は、今後の発表論文を含め13報に達した。
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