研究課題/領域番号 |
10650683
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
構造・機能材料
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
安住 和久 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60175875)
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研究分担者 |
伏見 公志 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20271645)
瀬尾 真浩 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20002016)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
600千円 (直接経費: 600千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | チタン / 酸化物皮膜 / 脱不働態 / 水素吸収 / ベントナイト / インピーダンス / レジストメトリー / AFM / 不働態皮膜 / 還元性水溶性 / インピーンダンス |
研究概要 |
長期間(1000年以上)地下埋設される高レべル放射性廃棄物ガラス固化体のオーバーパック材料としてチタンを用いた場合、チタンは核分裂反応の発熱により最大100℃程度まで加熱され、酸素を含まない環境でべントナイトと接触した地下水にさらされる。このような状況を想定し、チタンの水溶液中への浸漬実験を行い以下のような結論を得た。(1)機械研摩したチタン上では、脱気した水溶液中でも酸化物皮膜が成長する (2)酸化物皮膜の電子的バリア性は、長期間浸漬中に低下する (3)浸漬電位は、長期間浸漬後に不安定となる(4)20week浸漬後の表面では、全面で溶解跡が見られる (5)べトナイト接触水中では、局部腐食が見られる (6)これらの変化は、25℃よりも80℃の方が顕著であった。 チタンの腐食に関わるこうした現象の成因を調べるため、インピーダンス、AFM、XPSを用いて表面アノード酸化物皮膜の性質および経時変化を調べた。その結果、硫酸イオンを含む水溶液中で生成した皮膜は、(7)インピーダンス測定で得られた見かけの皮膜厚さが薄い (8)ドナー密度が非常に大きい (9)皮膜生成後に自然浸漬電位付近で分極すると、皮膜の電子的性質が低下する速度が大きい (10)AFM像より、多孔質的な皮膜が生成するなどの特徴が明らかとなった。以上の結果より、還元性の水溶液中においてチタンの腐食が進行しうること、この原因は表面酸化物皮膜のバリア性が還元性環境では徐々に低下すること、べントナイト接触水中に含まれる硫酸イオンが、チタン表面酸化物皮膜のバリア性の低下に最も大きく寄与することがわかった。ただし、腐食が進行するといっても20weekの実測値で深さ数10nm程度であり、これが実環境中においてさらに長期間浸潰した場合、さらに深刻な局部腐食に発展するか否かの評価が残された課題となろう。
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