研究概要 |
1.単層Ni膜: 膜厚100nmと300nmのNi膜を作成し,飽和磁化,保磁力,垂直異方性,残留磁化比等の磁気特性のAr圧依存性を明らかにした. 2.O_2を含むAr雰囲気中で作成したNi-O膜: (1)O_2分圧を変化させると,O_2/(Ar+O_2)=9%という値を境にして,生成される膜の結晶構造はNiからNiOに変化し,単相であった.(2)格子定数はバルクの値と比べて,Niで0.3%,NiOで0.5%大きかった.(3)Niの飽和磁化はバルクの90%であり,NiOの磁化率は成膜中に磁場を印加した方向とそれに直角に方向で異なるという磁場中スパッタ効果がみられたが,平均するとバルクの値にほぼ等しい.(4)Niの保磁力はO_2が0%のとき,容易方向で1.1kA/mで,困難方向で0.9kA/mであるが,O_2分圧の増加に伴い増加する傾向にある.(5)抵抗率はNi膜ではO_2比の増加に伴い僅か増加する傾向にあり,NiO膜ではNiに比べて僅かぼ4桁のみ増加しバルクのNiOより5桁小さく半導体の性質を示した.このNiO膜は化学量論組成ではなく,Ni欠損型のNi_<1-γ>膜が得られたといえる. 3.2層Ni/NiO膜: (1)NiO層の増加に伴い,結合磁界(H_<ex>),保磁力(H_c),磁気抵抗効果(Δp(H//I)/P)は大きくなる.(2)H_<ex>は,Ni層厚を小さくするのに伴い,大きくなる.(3)NiO層が大きくなる程,H_<ex>が生じるNi層厚が大きくなる.(4)H_cは,Ni層厚の減少に伴い増加する傾向にある.(5)Δp(H//I)/P)は,Ni層厚が大きい膜ほど大きい. 4.4層Ni/Cu/Ni/NiO膜膜: 結合磁界と保磁力はCu層が厚くなるに伴い増加する傾向にある.
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