研究概要 |
セル構造の制御によって靭性・耐熱性・断熱性・耐侯性・制振性などの諸特性の組合わせを広範に変化させることが可能な金属フォームは,計量で剛性の高い発泡構造材料・機能材料としての利用が期待される素材である.本研究は,従来からの製造法すなわち増粘処理した溶湯中に発泡剤を攪拌混入し,その解離によって発生するガスを利用して発泡させる液相法の課題であるセル構造の不均一さと製造工程の制御の困難さを克服するため,粉末冶金法に基づく新しいプロセスによる工業的な金属フォーム製品の製造プロセスの確立を目指すものである.このため,この新しい手法で製造したアルミニウムフォームのセル構造を調査した結果,拘束発泡試料の気孔組織は球に近い形状のクローズドポアを主体とするセル構造で飼料高さ方向にも横断面内でも表面層を除いて比較的均質な組織を呈することを明かにした.また,セルの平均的な形状を表現するためにrugness factorとroundnes factorの二つのパラメータを提案し,セル形状が多孔率に応じてほぼ一義的に定まることや高多孔率の場合のセル形状はVoronoi's cellのそれに近いことなどを明かにした.さらに,金属フォーム製品に適したより自由度の大きい成形法の開発を目的として,複数の単純な形態の発泡性素材を使用して発泡・融着・成形を金型内で同時に行って複雑形状部品を製造する発泡同時成形法や,長尺物の発泡材料の製造のための発泡押出し成形法などの各種成形法も提案してその基礎的な成形特性を検討した.今後,さらにセル構造組織の解明と金属発泡材の成形法の開発を進める予定である.
|