研究概要 |
金属粉末と酸化物粉末をメカニカルアロイング(MA)処理するこtにより, 延性のある金属中に硬く脆い酸化物粒子を微細均一に分散させることができる. 分散された酸化物が金属に対して熱力学的に不安定である場合は, 酸化物が酸素の供給源として作用して酸素の置換反応が起こり, より安定な酸化物へと置き換わる. 本研究は, Cu及びMg合金にこの手法を適用して, 銅合金及び純Mgに種々の酸化物の粉末を添加してMA処理を行い, 添加した酸化物を分解させることにより, 還元された金属との合金化と, 酸化物粒子のin situ生成を図った. このような手法により, 高性能な分散強化材料を得ることが本研究の目的である. その結果, すべての組合わせにおいて酸化物が微細均一に分散した組織のMA粉末が得られた. 銅より酸化傾向の大きい溶質元素を含む銅合金に酸化物を添加してMA処理を行った場合, 微細均一に分散した酸化物粒子が酸素の供給源となり, 銅合金の内部酸化を行うことができた. 種々の銅合金にCuOを添加してMA処理を行った場合は, CuOが分解して酸素の置換反応が起こり, Zn, Sn, Ni, Alなどの溶質元素が優先的に酸化されて, それぞれZnO, SnO_2, NiO, Al_2O_3がin situに生成することを示した. また, Cu-Al合金にZnO, NiO, Cr_2O_3などの酸化物を添加してMA処理を行った場合は, これらの酸化物が分解して溶質Alが優先的に酸化されてAl_2O_3が生成し, 還元されたZn, Ni, Crは銅中の合金元素となった. このような内部酸化法を適用することにより, 高強度のP/M材が得られた. 純MgにSiO_2を添加してMA処理を行った場合は、MA過程中にSiO_2の分解と、MgO及びMg_2Siの生成がX線的に確認された。MA粉末を加熱することにより反応はさらに進行し、それに伴って硬貨が起こった。TiO_2添加の場合は、MA中の分解は起こらなかったが、その後の加熱によって複合酸化物MgTiO_3の生成が認められた。しかし、ZrO_2添加の場合は、MA中もその後の加熱中も分解は起こらなかった。真空ホットプレスによって緻密化したバルク材においては、Mg-SiO_2系ではHV162に達する高い硬さの材料が得られた。
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