| 研究概要 |
1.耐熱合金上に生成するアルミナスケールの微細構造におよぼす硫黄および活性元素の影響について明らかにすることを目的とした。まず微量の硫黄を含むアルミナ生成耐熱合金であるFe-20Cr-4Al(3,35,53,104,171,185,491,1300,6300ppmS)合金の高温酸化実験を1273,1373,1473,1573および1673Kで18ks間,酸素中で行った。3ppmS上に生成した酸化スケールはどの酸化温度でも良い密着性を示した。35,53および104ppmS上の酸化スケールは1473K酸化後では冷却過程で著しく剥離した。1473K酸化では3ppm上の酸化スケールは平滑な形態を示したが,7,35および104ppmS上の酸化スケールは起伏のある形態を示した。
2.Fe-20Cr-4Al(185ppmS)およびこれに微量のY(10,300,800,3700ppmY)またはHf(500,900,1900,4300Hf)を添加した合金の高温酸化実験を1273,1373,1473,1573および1673Kで18ks間,酸素中で行った。Y添加合金では硫黄の除去および高温で安定なイットリウム硫化物の素地内での生成により,合金表面に生成したアルミナの密着性は良好であった。一方,Hf添加合金では1573K酸化により酸化スケールの剥離が著しかった。
3.Fe-20Cr-4Al(3,7,53,104,171,185,491および1300ppmS,10,300,800および3700ppmY,500,900,1900および4300Hf)合金の高温酸化実験を1373,1473および1573Kで360ks間,空気中で行った。1573K酸化後7および53ppmS上の酸化スケールは3ppmの場合と同様に良い密着性を示した。しかしながら,104,171,185および1300ppmSでは酸化スケールの著しい剥離が冷却過程で生じた。一方,イットリウム添加合金上の酸化スケールは良い密着性を示し,ハフニウム添加合金のそれは冷却過程で剥離した。酸化スケールの微細構造は酸化温度,酸化時間,硫黄,イットリウムおよびハフニウムの添加量に依存することがわかった。
|
