研究概要 |
1,生ゴムとゴム製品の配合:極性のNBR,または非極性のBR,SBRと各種ゴム製品とを、既設の2本ロールまたは密閉型二軸混合機を用いてカーボンブラック、加硫剤を含む系と含まない系など配合割合を系統的に変化させて配合した。 2,加硫用金型の製作および加硫操作:圧縮成型金型(キャビティサイズ114mm×119mm×2mm)に電圧印加用の電極(上35mm、下40mm)と熱電対を設置した。1,で調製した配合ゴムシート(未加硫)を金型に挟み、平成10年度科研費で購入した熱板式ミニテストプレスで加圧・加熱しながら電流、誘電正接(交流電圧印加のとき)をリアルタイムでモニターした。 3,ゴム種類、カーボンブラックの含量、硫黄の含量等の加硫曲線への影響の検討:2,で得られた電流、誘電正接-時間曲線とトルク一時間曲線や有効網目鎖濃度-時間曲線との比較から以下の事が明かとなった。 (1)NBRについてはカーボンブラックの有無にかかわらず、交流電圧または直流電圧を印加しての電流一時間曲線、交流電圧を印加しての誘電正接一時間曲線により加硫反応の追跡が可能である。 (2)BRについてはカーボンブラックを含まない系のときにだけ交流電圧または直流電圧を印加しての電流-時間曲線で加硫反応の追跡が可能である。 (3)SBRについてはカーボンブラックを含まないときにだけ交流電圧を印加しての誘電正接-時間曲線で加硫反応の追跡が可能である。 (4)カーボンブラックを含むBR,SBRについては加硫反応による電流に比べて大電流が加圧・加熱の開始直後から1〜3分間流れるため、加硫反応に起因する電流変化を検出できない。 4,今後の研究の展開:本研究の電気的測定法を加硫過程の追跡手段とするためにはカーボンブラックを含むBR,SBRへの適用を確立する必要がある。そのためにはカーボンブラックの種類と含量、加硫剤の種類の電気的性質(導電率、誘電正接)への影響、および実用配合ゴムの電気的測定を行う必要がある。
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