研究概要 |
陽極反応としてH_2ガス電極酸化反応を利用し,溶融フッ化物中でのレアメタルの電解採取法について研究を行った.対象とするレアメタルとしてはTiを選んだ.さらに,塩化物-フッ化物混合溶融塩中での電解,およびTiインゴットの直接電解製造についても検討した. 研究結果は,以下の通りである. 1)K_2TiF_6を含むLiF-NaF-KF中で,Tiイオンの部分還元を行うことなくTi金属が電析可能であることが明らかになった.この浴中で,多孔質炭素製ガス電極を用いることにより,H_2ガス電極酸化反応が安定して進行することがわかった.これらの結果から,溶融フッ化物中でのTi電解採取が可能で,必要とする電解エネルギーも小さいことが確かめられた.電析物性状の制御と付着塩除去,また,H_2ガス電極の効率化が今後課題である. 2)K_2TiF_6を含むNaCl-KCl-NaF-KF中で,安定したTi電解採取が可能であることが明らかになった.この方法は,H_2ガス電極酸化反応を利用した方法より電解エネルギーは多く必要となるものの,Tiイオンの部分還元が不要で,ガス電極も不要であり,プロセスは大幅に簡素化しうる.電析物性状の制御はやはり今後の課題であるが,付着塩の除去はフッ化物のみの場合より容易であった. 3)TiO_2を含むCaF_2-CaOに,大きな直流電流を流すことにより,高温の電解浴が形成され,Ti金属が得られることが明らかになった.この方法では,電極間距離の維持と十分な発熱量が必要不可欠であることがわかった.現有の装置では,Tiインゴットを直接作成するには至らなかったが,原理的には可能と考えられ,非常に有望な方法であることがわかった.
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