研究概要 |
本研究ではNa_2CO_3水溶液をモデル溶液とし,側方加熱冷却による2層系二重拡散対流のメカニズムを解明すべく,感温液晶法による温度場・流れ場の可視化,および溶液抽出法による局所濃度の測定実験を行った.二重拡散過程は界面近傍で起こる挙動の違いにより,境界面形成期,熱的擬定常状態,境界面不安定期の3つの期間に分けられた.また,境界面崩壊時間は初期浮力比と線形関係にあり,擬定常状態における物質移動速度は熱レイリー数に依存することがわかった. さらに,He-Neレーザによるレーザホログラフィー法(HI),およびArレーザによるレーザ誘起蛍光法(LIF)を併用する「温度場・濃度場の同時計測システム」の開発を目的とした基礎研究を行った.HIにおいて温度勾配と濃度勾配が共存する二重拡散対流を対象とした場合,等屈折率線を表す干渉縞は等温線とならないが,それは境界面および壁面近傍を除いて等密度線とみなせることがわかった.また,HI画像から得られた屈折率の値は妥当なものであった.これらを考慮し,任意時間の濃度がHI画像と実測の局所温度から決定された. HIにおいて局所温度を用いて濃度の算出がなされたことより,温度が場として得られるとき濃度場の算出が可能となる.そこで,LIFにより液相内温度分布の可視化について検討を行った.得られたローダミンBの蛍光画像における三刺激値(RGB値)を解析した結果,蛍光に対してR値が最も支配的であり,また,R値に直線的な温度依存性が確認された.また,それはレーザ出力にも依存した.この関係を利用することにより蛍光画像の定量化(温度場の算出)が可能となった.
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