研究概要 |
本研究の主な成果は以下の通りである。 1.既往の近代濾過理論を一般座標系に拡張することにより,3次元鋳込み成形の基礎支配方程式系を与えた。これは,液流速qと粒子移動速度rを含む濾液流動基礎式,qとrの発散を空隙率の時間微分と関連づける連続式,および液圧p_Lと圧縮圧力p_Sの関係から成る。qとrの方向が-∇p_L=∇p_Sの方向と一致すると仮定し,また,圧縮透過特性を利用すると,基礎支配方程式系を2個の偏微分方程式に帰着させ得る。これらの式を,空間的にはGalerkin有限要素法で,時間的には有限差分法で離散化し,各時間毎に得られたマトリックス方程式をGauss消去法によって解いた。着肉表面および液フロントの計算では,主曲率の影響を考慮した。円筒石こう型による鋳込み成形の解析結果は,ここで提案する解析手法により3次元着肉成長は勿論,空隙率,圧力,流速等の内部状態の時間発展やスラリー濃度の影響なども推定できることが示された。 2.濾材抵抗を比較的大きく設定して定圧濾過実験を1回だけ実施し,その初期段階の濾液流出量経時変化(Vvs.θ)を用いて,逆推算により圧縮透過特性を決定する簡便な方法を提案した。本手法は,近代濾過理論とSimplex法とを用いて,(Vvs.θ)関係の推定値と実測値の偏差を最小化するよう,圧縮透過特性と濾材抵抗特性を規定する計10個のパラメータを求めるものである。カオリンスラリー系への適用例により,本手法が圧縮透過特性の高精度かつ迅速なる決定法であることを実証した。
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