研究課題/領域番号 |
10650784
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物・生体工学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清水 浩 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00226250)
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研究分担者 |
内山 圭司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60294039)
塩谷 捨明 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50026259)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | 乳酸菌 / 酵母 / 混合培養 / ナイシン / カスケード制御 / バクテリオシン / 溶存酸素濃度 / マルトース / ラクトース |
研究概要 |
乳酸菌の作る抗菌バクテリオシン、ナイシンは、グラム陽性菌に対して広い抗菌スペクトルを有しているため、自然な食品保存料として注目されている。ナイシンは乳酸菌の増殖と連動して生産されているため、ナイシンの生産を向上させるためには、乳酸の生成とそれに伴うpHの低下による増殖阻害が問題になる。本研究では、アルカリを添加せず、しかも装置的な複雑さを伴わない方法で、この問題を解決する方法を検討した。すなわち、乳酸を資化できる能力を備えた他の微生物種を発酵食品中から探索し、この微生物と乳酸菌を同じバイオリアクター中で混合培養することを考えた。乳酸菌は、Lactococcus lactis sbsp.lactis(ATCC11454)を、酵母はマルトース資化能が無く乳酸を資化できるKluyveromyces marxianusを利用した。ナイシンを生産する乳酸菌は、好気条件でも嫌気条件でも高い増殖活性を保って生育することがわかったため、組み合わせる相手となる酵母の乳酸消費活性を制御できれば、リアクター内の乳酸濃度、pHが制御できると考えられた。酵母の純粋培養における溶存酸素濃度を変化させ、乳酸消費に対する影響を調べた。溶存酸素濃度が0〜2mg/Lの範囲で乳酸の消費活性が大きく変化することがわかった。そこで、乳酸菌が生産する乳酸を酵母が充分に消費することのできる条件に保つよう、溶存酸素濃度とpHをカスケード制御し、両者を混合培養した。その結果、リアクター内の乳酸は酵母によって、完全に消費され、pHは初期pHにほぼ維持され、乳酸菌の増殖阻害は回避された。ナイシンは増殖と連動して高濃度に生産され、本方式の有効性を確認できた。このように、本方法は、人工的なアルカリ添加によるpH制御を行う方法とは異なり、微生物どうしの働きを組み合わせることによる新しいバイオプロセスの制御方法ということができる。
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