研究課題/領域番号 |
10650795
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
工業分析化学
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
木羽 信敏 山梨大学, 工学部, 教授 (20020505)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | センサー / 固定化酵素 / 化学発光 / フロー法 / アミノ酸 / 尿酸 / 固定化酸素 / 科学発光 |
研究概要 |
平成10年度〜13年度の研究期間に固定化酵素充填センサーを開発し、それを用いる実際試料への応用研究を行いその性能を評価した。 まず、ルミノール化学発光反応を触媒するペルオキシダーゼ(EC 1.11.1.7)を各種固定化反応を用い各種固定化坦への固定化を検討した結果、親水性ポリマービーズヘトレシルクロライドによるトレシル化法が簡便で高活性な固定化酵素が得られることを見出したまた、ガラス製渦巻き型フローセルと半透明テフロン管フローセルを比較検討した結果、半透明テフロン管フローセルが操作性、耐久性、再現性とも優れていることを見出した。微生物由来と西洋ワサビ由来のペルオキシダーゼを比較した結果、微生物(Arthromyces ramosus)由来の標品が安定性、活性、固定化量において遙かに優れていることを見出した。このことは、これまで生体触媒である酵素を用いるセンサーは安定性に欠けるとの評価があったが、室温で安定な固定化酵素の調製により、約1ヶ月間の連続使用が可能であり、実用に十分耐えられる実例である。これらの知見に基づき、同時固定化ロイシン脱水素酵素/NAl)DH酸化酵素/ペルオキシダーゼを充填したセンサーを開発し、血漿中の分岐鎖アミノ酸を2週間にわたって、分析速度25/hで測定出来るシステムを構築した。また、アルデヒド脱水素酵素、尿酸酸化酵素(ウリカーゼ)、グルタミン酸酸化酵素、リジン酸化酵素の固定化条件等を検討し、その最適化を行った。 さらに実用性を高めることを目的として妨害物質の影響の少ないセンサーの開発を試み、所期の成果を得た。これまでに開発された化学発光センサーの欠点は、試料中に含まれる酸化性又は還元性物質の影響を受けることである。ほとんどの実試料(食品、血清、血漿等)には酸化性物質が含まれることは希であり、アスコルビン酸などの還元性物質が含まれている。この影響を除去するため、フローセル内に固定化ウリカーゼと固定化ペルオキシダーゼを充填し、キャリア溶液中に尿酸を共存させ、固定化ウリカーゼ中で生成した過酸化水素とアスコルビン酸を反応させ、過剰な過醐酸化水素は固定化ペルオキシダーゼで分解できるセンサーを開発した。これを、血清中のL-グルタミン酸の定量に応用した。共存するアスコルビン酸と尿酸の影響なく、30/hの分析速度で、2000検体の測定が可能であった。アミノ酸分析計による測定値の相関は0.997であった。 さらに適用範囲を広げる目的で、本センサーに適合可能な新規な酸化酵素の生産を試み、新規のヒスタミンオキシダーゼをArthrobacter crystallopietes KAIT-B-007から抽出・精製した。これとペルオキシダーゼを同時固定化し、フローセルに充填し、ヒスタミン定量用の固定化酵素充填化学発光センサーを開発した。このセンサーの精度は、50μMヒスタミンの115回の繰り返し注入によるピーク高の変動が1.25%以内であり、良好であった。実試料への応用研究として鯖肉中のヒスタミン濃度を測定した。本センサーと従来法であるHPLCとの相関は0.996でり、妨害無く測定が可能であった。
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