研究概要 |
二酸化炭素は,まず,ギ酸(非水系では蓚酸)あるいはCOに2電子還元され,COは更にメタン,エチレン,アルコールなどの種々の物質に還元される。本研究は,このような比較的単純な小分子CO_2から多種の物質が生成する要因を明らかにするため,電極表面種の構造と反応性との関係を赤外分光法にて調べることを目的としている。最初にCOと蓚酸の選択性について,次にCOから炭化水素生成への選択性について検討した。 1.CO/蓚酸の選択性 中間に生じるCO_2-アニオンラジカルの吸着性により選択性が決定されるモデルを非水系で検討した。併せて電極活性なPtがCOではなく蓚酸が主生成物である原因を検討した。 (1)赤外分光法により,反応中にPtは吸着COによって全面被覆されていることを示した。吸着COのため,CO_2-ラジカルはPtに吸着されず,不活性なPbと同じ蓚酸を生成する。モデルの正しさとPtの特性を明らかにした。 2.炭化水素の選択性 Cu電極への吸着COについて赤外分光法で検討した。Cuは炭化水素生成に高活性であり,(111)面ではメタンが,(100)面ではエチレンが主に生成する。(111)と(100)の基本指数面およびこれらのステップとテラスからなる一連のCu単結晶電極を作成し,COの吸着状態を調べた。 (1)複数のCO吸着型の存在を示し、その帰属を明らかにした。2050cm^<-1> ; (100)テラス面上のon-top型CO。2075cm^<-1> ; (100)ステップあるいは(111)ステップに吸着したon-top CO。赤外不活性CO ; (111)テラスに吸着したCO,試験的に電極面に平行に吸着COに帰属。 (2)炭化水素生成選択性の異なる電極面に,異なったCO吸着種が存在することを明らかにした。
|