研究概要 |
電気化学的自己組織化プロセスによる理想フィルターメンブレンの作製に関し,以下の成果を得た. 1.高規則精密濾過フィルター作製の基礎となる陽極酸化ポーラスアルミナの自己組織化条件に関して検討を行ない位,新たにリン酸を電解液として用いることにより,従来知られている構造に比較し,より大きな細孔間隔で細孔が自己組織化的に理想配列をとる条件が見出された.更に,陽極酸化アルミナ皮膜の濾過フィルターメンブレンへの応用に必須なスルホール化技術に関して検討を行ない,機械研磨法をはじめとするスルーホール化技術の確立を行なった. 2.細孔が理想的に配列した陽極酸化皮膜の作製法を確立した.Al板表面にモールドを用いたテクスチャリング処理により,陽極酸化時の細孔発生の開始点となる窪み配列を形成し,その後,適切な条件で陽極酸化を行なうことにより,細孔が理想配列した陽極酸化アルミナを得た.更に,スルーホール化を行なうことによりフィルターメンブレンとすることが可能なことを確認した. 3.フィルターメンブレンの化学的安定性を向上させることを目的に鋳型プロセスによる金属フィルターメンブレンの作製を行ない,Ni,Ag,Au等の理想細孔配列メンブレンを得た.このほか,ポーラスアルミナメンブレンを加熱処理し,結晶化させることで化学的安定性の向上がはかれることが見出された. 4.作製されたフィルターメンブレンの精密濾過特性の評価を行なった.加圧濾過装置により流量の圧力依存性,流量の経時変化特性等について検討を加えた.これらの結果をもとに本フィルターメンブレンの液体透過特性の解析を行なった.更に,各種モデル粒子を用いた精密濾過を実施し,数100nm〜数10nm範囲の超微粒子を高精度に分離・濾過可能なことを確認した.
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