研究概要 |
分子間のエネルギー伝達は、通常ボルツマン分布則に従うようなランダムなものであり、効率が悪い。それに対して、エネルギー供与分子とエネルギー受容分子間で選択的なエネルギー伝達を実現できれば効率の良いエネルギー伝達が可能となる。その目的のため、水素結合を介したエネルギー共役系を提案、構築している。 励起状態の2-アミノアントラキノン(2AAQ)が、水素結合したアルコール分子よって選択的エネルギー伝達によって失活されることを見いだしている。この失活過程の解析により、失活過程には輻射過程(inplane mode)と無輻射過程(out-of-plane mode)の2つがあり、クメンヒドロペルオキシド(CHP)の分解反応は、無輻射過程でのみ起こることをつきとめている。この過程について理論計算によって解析し裏付けを行った。好励起エネルギー供与物資として、1,2,3または4-アミノ9フルオレノン (1,2,3,4AF)2-アミノアントラキノン、2-ピベリジノアントラキノン(2PAQ)を用いた。エネルギー受容物資として、メタノール、エタノール、クメンヒドロペルオキシド(CHP)を用いた場合については、in-plane modeとout-of-plane modeの安定構造の存在を確認し安定性について検討した。直鎖ジオール(炭素数1〜7)については、鎖長による消光能の変化との関係について検討した。水酸基の露出面積の異なる嵩高い部位を持つアルコール(モノ,ジ,トリフェニルアルコールなど)について水素結合の安定性を検討した。振動構造解析によってカルボニル基の面外変角振動の存在を確認した。カルボニル酸素に対して水素結合がin-plane方向である場合とout-plane方向である場合について比較検討した。上記のように、既に得られている実験事実について理論計算によろ解析と裏づけを行った。
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