研究概要 |
金属アルミニウム溶解法で得られる高濃度・高重合度・高純度の多核ヒドロキソアルミニウム錯体(PHA)溶液のゲル化能および溶存化学種の大きさや平面性を利用して各種新規無機材料を創製を試み,以下の知見を得た. ・PHA溶液から透明なゲルが得られ,これを500〜900℃で加熱すると,直径3〜4nmの細孔と直径4〜30nmの細孔をもつγおよびχアルミナから成る活性アルミナが生成した.また,テトラメチルアンモニウムクロライド(TM)をPHA溶液に添加すると,TM含有量が30%以上の複合ゲルから3〜4nmにモノモーダルの鋭い細孔径分布を示すγアルミナが得られ,細孔径は添加量および加熱温度により精密に制御できることを見出した.400℃で加熱したγアルミナは最大0.25cm^3g^<-1>の細孔容積を与えた. ・PHA溶液と膨潤性合成フッ素雲母からアルミナ架橋フッ素雲母が得られ,その圧粉成形体を500〜700℃で焼成すると,良好な機械加工性を有しミクロ多孔性を維持した焼結体が得られた.異なる粒径の架橋雲母を用いた場合,粒径の大きい架橋雲母から比表面積の大きい焼結体が得られることが判明した.また,PHA溶液と膨潤性合成フッ素雲母をポリビニルアルコールの存在下で反応させると,500℃で2.7nmの大きい底面間隔を有し,800℃で加熱後も300m^2g^<-1>以上の比表面積を維持する高耐熱性架橋雲母が合成できることを見出した. ・アルミナ架橋雲母と,PHA溶液およびPHA系ゲルまたはその仮焼体から,アルミナ架橋雲母-γアルミナ系複合焼結体が作成できた.仮焼したゲルを用いた場合,比表面積や細孔特性を維持した複合焼結体が作製できた.また,架橋雲母を調製する際は,その前駆体を十分洗浄することが重要であること,低温焼成用バインダーとしては仮焼した架橋雲母よりも架橋雲母前駆体が有効であること,等が判明した.
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