研究概要 |
マンガン酸リチウムの50℃以上でのサイクル特性(充放電の繰り返しによる放電容量の変化に関する特性)を改善するためにコバルトイオンをコンポジット化した高密度マンガン酸リチウム粉体を調製した。方法は,電解二酸化マンガンを硝酸コバルト溶液に分散して水酸化ナトリウ溶液を添加して水酸化コバルト被覆電解二酸化マンガンにし,ろ過乾燥後リチウム化合物と(Mn+Co):Li=2:1の割合で混合して470℃で6時間仮焼後750℃で20時間焼成するものであった。コバルト水酸化物で処理した物は3種類作った(Li:Co:Mnの割合を形式的に表してLiCo_yMn_<2-y>O_4とし,y=0.04,0.08,0.16の3種類)。得られた試料はいずれもX線回折でスピネル構造であることを確認した。EDX分析からコバルトイオンは粒子表面に多く存在した。この試料について30と60℃で充放電を行った。コバルトイオンをコンポジット化していない試料とコンポジット化した試料の30℃でのサイクル特性を比較し,後者が優れていることを明らかにした。しかし,60℃ではコンポジット化した試料でもサイクル特性が悪くなったので,コンポジット化を進めるため900℃で30分間加熱処理した。EDX分析からコバルトイオンは粒子全体に一様に分布したと考えられる結果を得た。この試料でも60℃でのサイクル特性の向上はみられなかった。、コバルトイオンに代えて鉄イオン,ニッケルイオン,マグネシウムイオンを用いて電解二酸化マンガンの表面処理をし,これらイオンを含むマンガン酸リチウムを合成した。X線回折でいずれもスピネル構造を有していた。LiM_<0・16>Mn_<1・84>O_4(M=Ni,Mg,Fe)で60℃でサイクル特性を調べた結果LiNi_<0・16>Mn_<1・84>O_4の場合に優れたサイクル特性が得られた。
|