研究概要 |
最初に金属塩のアンモニア水溶液を原料に用い,酸化亜鉛の微粒子を合成してその微構造を制御する研究を行った.沈殿剤として炭酸水素アンモニウムを用いて合成を行った結果,20nm程度の非常に薄い殻を持つ中空球形の酸化亜鉛微粒子が得られた.この結果は,沈殿生成によってゲル化した液滴中で,熱分解による気体発生が生じて粒子が中空化するためと考えられた.そこで,炭酸水素アンモニウムを含む系にさらに硝酸アンモニウムを加え,沈殿の生成および分解挙動や,ゲルの粘性などを変化させた.その結果,硝酸イオンの添加により中空粒子の殻の厚みを厚くすることが可能であることがわかった. 酸化亜鉛-金属複合微粒子を合成する実験では,酸化亜鉛のアンモニア水溶液に沈殿剤としての炭酸水素アンモニウムと酸化銀または硝酸パラジウムを加えた溶液を原料として,中空球形の酸化亜鉛微粒子の表面にナノサイズの銀またはパラジウム微粒子が均一に分散付着した複合微粒子を合成することができた.このとき,炭酸水素アンモニウムの濃度を大きくすることで複合粒子の粒径を大きくするとともに金属微粒子のサイズを小さくできること,微量の硝酸アンモニウムの添加がその逆の効果を示すこと,などが明らかになった. スラリーを原料に用いる系については,主に多孔質酸化チタン粒子の合成を試みた.スラリーに種々の添加剤を加えて合成した微粒子は,酸化銅や酸化亜鉛粒子のような泡状や中空状といった特異な微構造は示さなかったが,微細孔をもつ多孔質粒子となった.この粒子の細孔構造を制御する手法について,現在さらに検討を進めている.
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