研究概要 |
本研究では、高活性、高機能4員環環状カルボニル化合物の開発を目的として、二価ロジウム触媒存在下、ジアゾカルボニル化合物の分子内C-H結合挿入反応を経由する新規α-ホスホノシクロブタノン及びα-ホスホノアゼチジノンの一段階構築について行なった。アントラセンとアクリル酸メチルのDiels-Alder付加体より11-diazo (dimethylphosphono) acetyl-11-ethyl-9, 10-dihydro-9, 10-ethanoanthracene (4c)、11-diazo (dimethylphosphono) acetyl-11-propyl-9, 10-dihydro-9, 10-ethanoanthracene(4d)を調製した。また、アントラセンとメタクリル酸メチルのDiels-Alder付加体より11-diazo (dimethylphosphono) acetyl-11-methyl-9, 10-dihydro-9, 10-ethanoanthracene(4b)を調製した。得られたジアゾ化合物4b-dに1,2-ジクロロエタン溶媒中、酢酸ロジウムを作用させ、80℃で加熱したところ、分子内C-H結合挿入反応が進行し、混合物としてシクロブタノン5b-d及びシクロペンタノン6c,dを得た。構造決定はIR及び^1HNMRから行なった。7, 8:9, 10-dibenzo-2-ethyl-4-(dimethylphosphono) tricyclo[4.2.2.0^<2,5>]deca-7, 9-dien-3-one (5c) のIRで1774.7cm^<-1>にシクロブタノンに帰属できる特徴的なカルボニルのピークが見られた。また、^1HNMRより側鎖エチルのメチルに帰属できるシグナルがδ1.09(t, J=4.9Hz, 3H)にトリプレットで観測された。この結果より、シクロブタノンの生成は側鎖アルキル基ではなく、エタンブリッジのC-H結合へ挿入反応した結果と判明した。さらに、触媒に光学活性なRh_2[N-Phth-(L)-Phe]_4を用いたとき、不斉分子内C-H結合挿入反応が進行し、側鎖アルキル基の種類に関係なく不斉収率43%eeで光学活性シクロブタノンが生成した。
|