研究概要 |
本研究は、ニトロシルカルボニル鉄錯体の特性を最大限に活用し、1,3-ブタジエン類やアレン類を原料とし、ハロゲン化アルキル存在下、2分子のCOの挿入、即ち位置および立体選択的なダブルカルボニル化を経てアルコール分解することにより 5成分を一挙に結合させる反応の開発を行うものである。 1,3-ブタジエン類を種々のハロゲン化アルキル存在下にトリカルボニルニトロシル鉄酸塩と反応させ、1,3-ブタジエンの1位へのアシル化を伴うπ-アリル鉄錯体の合成を行った。次に、このπ-アリル鉄錯体にビス-1,2-(ジフェニルフォスフィノ)エタン(DPPE)を反応させて1,3-ブタジエンのもう一方の末端にカルボニル挿入したε-オキソ-β,γ-不飽和アシル鉄錯体を合成した。これにより1、4位ダブルカルボニル化を達成した。次にこの鉄錯体をアルコール分解することにより、ε-オキソ-β,γ-不飽和カルボン酸エステルを合成した。これらの反応により、5成分連結反応が完成した。さらにこれらの反応をシングルフラスコ中で連続的に行うことにより、一挙に5成分を連結することが出来た。アレン類についても同様に、種々のハロゲン化アルキル存在下にトリカルボニルニトロシル鉄酸塩と反応させ、次にDPPEを反応させ、トリカルボニルニトロシル鉄酸塩からの2分子のCOがアレンの1、2位にダブルカルボニル化し、続いてアルコール分解することにより、これら5成分が連結したγ'-オキソ-β,γ-不飽和カルボン酸エステルを一挙に合成する反応を開発した。
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