研究概要 |
1.アセトフェノン=O-アクリロイルオキシムをモノマーに用いて、アシルオキシイミノ(AOI)基をもつ共重合体(コモノマーはスチレンなど)を合成した。このポリマーフィルムは光照射により、側鎖に効率良くアミノ基を導入でき、光照射後もフィルムは溶媒に可溶である。このフィルムにキノン類(1,4-ベンゾキノン、1,4-ナフトキノン、2-ドデシルチオー1,4-ベンゾキノンなど)を共存させた光照射すると、光照射後フィルムは不溶化(架橋)するだけでなく、後加熱によって架橋がさらに進行した。光架橋はポロマーラジカルとキノン類との反応であり、後加熱による架橋はキノン類とアミノ基との反応であることを明らかにした。 2.AOI基と増感基(ベンゾフェノンユニット (BPunit))とを合わせもつポリマーフィルムでは光照射によりAOI基の分解効率が著しく増大し、光照射によって不溶化が起こるだけでなく、後加熱によって不溶化がさらに促進されることを見いだした。光架橋はBPunitの水素引き抜きによるラジカルの関与した架橋、後過熱による架橋はアミノ基の関与が考えられるが機構は明らかではない。 3.カルバモイルオキシイミノ基をもつポリマーフィルムの光照射では、光照射により光架橋がおこるとともに、アミノ基やヒドラジノ基が生成することを明らかにした。この系でも後加熱により不溶化はさらに進行した。 1から3の結果は光架橋が熱でさらに増幅される系として興味深い。 4.フェナシル基をもつ4級アンモニウム塩の対アニオンにN,N-ジメチルカルバマートを用いたところ、光照射で効率よく3級アミンを生成することを見だした。この結果はこれまで光塩基発生剤から生成するアミンが種に1級あるいは2級であったことから、新しい光塩基発生剤の分野を開くものとして期待される。
|