研究課題/領域番号 |
10650902
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
船舶工学
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研究機関 | 神戸商船大学 |
研究代表者 |
井上 欣三 神戸商船大学, 商船学部, 教授 (00031477)
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研究分担者 |
世良 亘 神戸商船大学, 商船学部, 助手 (20294259)
古荘 雅生 神戸商船大学, 商船学部, 助教授 (80243335)
嶋田 博行 神戸商船大学, 商船学部, 教授 (50162681)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 操船シミュレータ / シミュレータ教育訓練 / 訓練効果 / 定量的評価 |
研究概要 |
1.操船シミュレータ訓練効果の定量的評価法の開発 操船シミュレータを使用して行われる訓練の効果判定や目標達成度の判断を客観的、定量的に評価するための指標と基準を明確化するためのモデルとして、「環境ストレスモデル」と「ニアミスモデル」を開発した。環境ストレスモデルは、地形的な操船水域の制約と他船との出会いに伴う行動制約が操船者に課す困難性を、操船者への心理的ストレスとして数値表現することを試みたものであり、この研究成果は、操船者の感覚を極めて的確に表現しているとの実務者からの評価を得るに至り、神戸港や横浜港や関門港における強制水先船型基準の検討における運輸省モデルとして使用されるという成果を得る結果となった。一方、ニアミスモデルは、操船過程において操船者がどれ程の安全な操船を達成し得たかを判断するモデルであり、潜在的操船水域(PAW:Potential Area of Water)の概念を導入して、実際に事故には至らなかったものの乗り揚げや衝突寸前に立ち至った状態、すなわちニアミス状態に着目して、そのリスクポテンシャルを数値化する考え方を提案したものである。 これら提案された2つの評価モデルは、操船訓練の結果の良否を判定するための定量的数値指標と、操船訓練による技術錬磨の成果が満足のいく水準に達したかどうかを客観的に判定するための基準を備えている。操船シミュレータ訓練効果を数値を用いて、また、主観を交えず評価することを可能としたこの研究成果は、これまで立ち遅れていたIMOによる操船シミュレータ訓練の導入への審議に拍車をかけるものとなろう。 2.リアルタイム研修効果判定システムの操船シミュレータへの組み込み ここに提案した2つの評価モデルが出力する数値指標と評価基準をグラッフィクス情報に加工してデイスプレイに表示するリアルタイム・アセスメントモニターシステムを開発し、本学の操船シミュレータに付設した。 3.操船シミュレータ訓練の有効性の検討実験と合理的研修方法の検討 各種操船シミュレータ研修実験を実施し操船シミュレータ訓練の有効性を検討した。操船結果を本学の操船シミュレータに設置したリアルタイム研修効果判定システムを活用して即座に判定する方法により、一人の被験者が操船の実行回数を経るごとにどのように技術向上に至るか、技術錬磨の過程を判定した。その結果、易しいシナリオにおいては訓練効果は目に見えて顕著に現れるが、難しいシナリオに対しては成績向上はなかなか現れないことが判明した。つまり、与えたシナリオの難易により研修成績の向上の様子が一律でないことはIMOが操船シミュレータ訓練の導入を制度化するにあたっては訓練対象として与えるシナリオの選別に十分な予備的検討が必要であることを意味している。この他、研修方法のあり方に関する検討からも普遍的な教育研修方法の確立、インストラクターの資質と能力の均一化の対策など、まだまだ解決すべき問題が残されていることが明らかになった。
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