研究課題/領域番号 |
10650911
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
海洋工学
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研究機関 | 弓削商船高等専門学校 |
研究代表者 |
塚本 秀史 (1999) 弓削商船高等専門学校, 情報工学科, 助教授 (20311102)
秋山 秀樹 (1998) 弓削商船高等専門学校, 商船学科, 助教授 (90159343)
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研究分担者 |
清田 耕司 広島商船高等専門学校, 練習船広島丸, 助手 (50216503)
世登 順三 広島商船高等専門学校, 練習船広島丸, 助教授 (80249846)
多田 光男 弓削商船高等専門学校, 商船学科, 助教授 (60141941)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1998年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 豊後水道 / 佐伯湾 / 地形性渦流 / 潮汐・潮流 / 湧昇流 / 水温急上昇 / 黒潮系暖水 / 内湾 / 現地調査 / 超音波ドップラー流速計 / 水温・塩分断面構造 |
研究概要 |
豊後水道の内湾域では、同水道内を流れる潮流と岬状地形との相互作用で、潮流周期に同期して「地形性渦流」が発生することが既往の研究で知られている。本研究の目的は、この地形性渦流の発生・消滅過程とその動態(実態やその時・空間変動特性など)を、練習船を使った現地調査から明らかにすることである。 現地調査としては、豊後水道の内湾域である九州・佐伯湾を例にとり、2年間にわたり潮汐周期に同期したCTD・ADCPの連続観測および定点での多層水温係留系観測を複数回行った。また、豊後水道を横断する定期フェリーを使って観測されている航走連続水温観測記録を解析した。 その結果、佐伯湾の地形性渦流に関連した物理過程として、以下のことが明らかになった。(1)佐伯湾では豊後水道の上げ潮流時に反時計回り、下げ潮流時に時計回りの地形性渦流が形成される。(2)佐伯湾では上げ潮流に伴って豊後水道から黒潮系暖水が湾内上層へ、低温の海水が湾内下層へそれぞれ侵入してくる。(3)湾内には地形性渦流が形成されると、その渦流の中央で下層の低温水が中層へ湧昇させられる。(4)地形性渦流に伴う下層の湧昇現象は短時間に突発的に発生している。(5)地形性渦流は円錐を逆立てた形状をしていて、その鉛直軸は海面から海底へ向かって、海底斜面に沿って、湾口方向へ傾いている。 次にその他の研究結果として、以下のことがわかった。(6)佐伯湾の表層水温は豊後水道中央、同水道東側、および宿毛湾の三海域により低水温である。(7)佐伯湾中央部や宿毛湾口北側の高茂岬付近では局所的に水温が低くなっている。(8)佐伯湾口部の潮汐フロントは3月〜11月まで維持されている。特に6月〜9月までは先鋭なフロントが形成されている。 今後の課題としては、地形性渦流の発生から消滅に至るまでの物理過程を明らかにする必要がある。また佐伯湾内でのADCPの周回観測を行った。この観測データを解析し、佐伯湾における地形性渦流の詳細な流動構造や鉛直循環流の収束・発散機構などを突き止めたい。
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