研究概要 |
ダイズを含む6種の夏作マメ科作物およびツルマメの幼植物について調査した結果,過湿条件下において何れの作物・種の胚軸にも二次通気組織が形成されるが,胚軸横断面あたりの二次通気組織の面積は,ダイズが最も大きく,次いでツルマメ,ササゲ,リョクトウの順で,他の3作物では極めて小さかった.中心柱に対する二次通気組織の面積の比もダイズはツルマメについで大きく,ダイズにおける二次通気組織の形成能はツルマメと同程度であることが明らかとなった.各作物の耐湿性程度(過湿区/畑区の乾物重比)と過湿区における二次通気組織の面積との間に1%水準で,面積比との間に5%水準で有意な正の相関関係(r=0.738およびr=0.681)が認められることから,二次通気組織の発達が耐湿性と密接に関係していることが強く示唆された.さらに,二次通気組織は胚軸にそって連続的に形成されること,胚軸をワセリン・パラフィルムで覆った場合二次通気組織内への酸素の取り込みが阻害され,地下部に酸素を供給できないために植物の生育が抑制されることが明らかとなった.ダイズにおける耐湿性の品種間差異については必ずしも十分な結果が得られなかったが,二次通気組織は処理にかかわらず供試したすべての品種の胚軸に見られ,形成量には品種間差異が認められた.二次通気組織形成の遺伝については,現在栽培ダイズとツルマメの交雑後代のF2種子を採取したところであり,研究途上にあるが,本研究よって耐湿性ダイズ育成の基礎が築かれたものと考えられる.
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