研究概要 |
カンキツの台木は,穂木品種の生育に重要な役割を担っているが,その機構については明らかにされていない.わい性台木としてのヒリュウ,強性台木としてのシトロメロ,両者の中間の対照台木としてのカラタチを使用して試験を行った.ユウレカレモンの柔軟な若芽を台木の黄化実生に割り接ぎする方法を採用した. 接ぎ木18ヵ月後に,接ぎ木個体の樹体各部分について乾物重を測定した。地上部重に関しては,シトロメロで最も重くヒリュウで最も軽かったが,地下部に関しては台木間に明らかな差は認められなかった.新梢と細根について内生IAAとABAの分析を行った.新梢におけるIAAレベルはシトロメロで最も高く,ヒリュウで最も低かった.一方新梢のABAレベルはヒリュウで最も高く,シトロメロで最も低かった.細根においては,IAA,ABAともにカラタチ系の台木において高くシトロメロでは低かった.強性台木であるシトロメロ台ではT-R率並びに新梢におけるIAA-ABA率が高かった. 穂木品種の葉及び台木品種の細根における全糖含有率は,穂木品種の生育と高い相関を示した.強性台木においては,貯蔵炭水化物は翌年の生育を促進し,穂木品種の生育を促進しする関係に有るものとみなされた.
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