研究概要 |
担子菌シイタケ(Lentinus edodes)DDLE1株由来のshp1遺伝子は上流域にリピート配列LESR1を含み、P450ファミリーのヘム結合部位様配列を含む低分子量(74アミノ酸)タンパク質SHP1をコードしている。本研究では、SHP1の構造と機能を明らかにすることを目的として実験を行い、以下の知見を得た。シイタケFMC2株2株由来のshp1はDDLE1株由来のshp1の場合に見られる終止コード付近のダイレクトリピートを持たず、その結果コードされるSHP1はDDLE1株のものより大きく115アミノ酸から成ると考えられた。FMC2株からP450をコードする遺伝子を3つ(Le.cyp1,Le.cyp2,Le.cyp3と命名)クローニングしたが、上記両SHP1のアミノ酸配列は3つのP450のヘム結合部位を含むC末端側アミノ酸配列に顕著な相同性があることが分かった。また、shp1はシイタケ菌糸細胞内でリピート配列を含む形で安定に転写発現されていることが分かった。大腸菌でグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現させたSHP1はヘモグロビン由来のプロトヘムと複合体を形成した。子嚢菌由来のP450を出芽酵母内で発現させ、ミクロソーム膜系に存在するNADPH-P450還元酵素の関与の下に、O-メチルステリグマトシスチンからアフラトキシンB1を合成させる活性が当該P450にあることを証明した実験系を用いて、担子菌由来の各種脂溶性物質の中から、SHP1(及びLe.CYP1)の一原子酸素添加反応の基質及び反応生成物を同定することを試みた。しかしながら、現在までのところ、それらの同定にまで至っていない。なお、shp1とLe.cyp1,2,3及びそれらのコードするタンパク質に関する成果については投稿準備中である。
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