研究概要 |
γ-アミノ酪酸(GABA)レセプターには非競合的アンタゴニストの結合部位が存在する.その3次元構造の昆虫と哺乳類における違いを明らかにするために,分子プローブの合成,レセプター結合活性の測定,および構造活性相関解析を行った. 1.プローブ1:ピクロデンドリンを用いた解析 植物由来の天然物であるピクロデンドリンはGABAアンタゴニストとして作用する.ラットおよびイエバエのGABAレセプターにおける活性を測定したところ,両方のレセプターに活性を示すものとイエバエレセプターに選択性を示すものとがあった.A,B,C,Dの4サブサイトからなる筆者らの結合部位3次元構造モデルを用いてピクロデンドリンの活性発現と選択性を説明することができた. 2.プローブ2:二環式リン酸エステルを用いた解析 このグループの化合物の3位と4位に適切なアルキル基を導入すると,イエバエレセプターに対して選択的に作用するアンタゴニストになることがわかった.ラットとイエバエのレセプターではこれらの置換基を許容するスペースの大きさが異なることが推察された.合成した類縁体すべてを使ってイエバエレセプターについての3次元定量的構造活性相関解析を行い,サブサイトBおよびCの3次元空間領域を定義した. 3.プローブ3:非環式エステルおよびエーテルを用いた解析 このグループの化合物のほとんどはラットレセプターに対してアンタゴニスト活性を示し,イエバエレセプターには低い結合活性しか示さなかった.このグループの化合物は,構造上,3サブサイトと相互作用すると考えられ,残りの1サブサイト(B)との相互作用がイエバエレセプターに対する選択性発現に重要てあることが推察された.
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