研究概要 |
オジギソウ(Mimosa pudica)を,外部から投与した化学物質で刺激することにより,動物の神経や筋肉と類似した,植物の応答としての短時間の急速な電位変化(インパルス)を誘導し,これを指標としてこのようなインパルス誘導物質を広く天然から見い出すための簡便な生物試験法を開発して,これまで植物抽出物中から数種類の活性物質を得てきた。平成11年度は,マメ科ネムノキ(Albizzia julibrissin)の葉のメタノール抽出物のへキサン可溶部に含まれる活性成分を単離し,種々のスペクトルを測定した。その結果,新規化合物であると考えられる本活性成分の構造について一部を明らかにした。すなわち,分子量は462,その精密質量より分子式C_<28>H_<50>N_2O_3であると考えられた。IR,UV,^1H,^<13>CNMRなどにより,その分子中にメチル基,エチル基,イソプロピル基,共役ケトン,メチルケトン等の官能基を含むことが示唆された。これらの組み合わせについては,各種のNMR相関スペクトルにより検討した。 また,他のマメ科植物のメタノール抽出物のうち,タンパク質含量が多く生育が早いので,新しいバイオマス資源として高く評価されながらも,アレロパシー物質としてミモシンなどを含むため有効な利用法が見いだされていないギンネム(Leucaena glauca)に強いインパルス誘導活性を見いだした。この活性成分を沖縄に自生しているギンネム7.7kgから単離し,その生理作用と化学構造について検討した。
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