研究分担者 |
柴田 英昭 北海道大学, 農学部・附属演習林, 助手 (70281798)
徳地 直子 京都大学, 農学研究科, 助手 (60237071)
杉本 敦子 京都大学, 生態学研究センター, 助教授 (50235892)
小杉 賢一朗 京都大学, 農学研究科, 助手 (30263130)
小杉 緑子 (小杉 縁子) 京都大学, 農学研究科, 助手 (90293919)
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研究概要 |
平成10年度,実施計画に基づき,滋賀県南部の花崗岩山地に位置し,植生発達段階が異なる3流域における水質と生態学的物質循環量のモニタリングを行った.この結果,以下のことが明らかになった. 1)森林の発達に伴い,土壌浸透過程において生物的なH^+の供給量が増加した。対象とした3流域では,供給されたH^+がある一定のH^+濃度になるまで消費されるのに十分な化学的風化のポテンシャルと,水の滞留時間が存在することが示された。また,そのような条件を満たしている流域では,森林が発達し生物活性が高まるにつれ,土壌中のH^+供給源であるCO_2濃度を上昇させ,化学的風化を促進し,アルカリ度を高め,地下水の湧出・脱気後の渓流水pHをより高める効果があることが示された。 2)H^+供給源・消費源の分布の変化も観察された。森林が発達するにつれ,特に表層土壌中における生物起源のH^+供給量が増加した。その結果、表層で供給されたH^+が表層土壌層中で消費しきれなくなり,一部は下層土壌層で消費されるようになることが明らかになった。 また,これらの観測結果を受けて,平成11年度,データの整理との主要な水質制御要因の抽出を行った.この結果以下の成果を得た. H^+の消費過程として重要な浸透中の風化現象に関し,風化過程で生成されるSiO_2濃度を指標とし,溶解速度と水-鉱物接触時間を制御する要因に着目して,山地源流域における風化過程の時空間分布や制御要因について検討した結果,上記2つの要因が風化過程に及ぼす影響は,流域の物質的な特性によってその寄与が異なることが明らかになった。森林植生の発達段階が異なるどちらかの流域においても,溶解速度を制御しているのは地温の季節変化であり,pHによる溶解速度変化の影響は小さいと考えられた。
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