研究課題/領域番号 |
10660173
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金子 豊二 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (70221190)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | シロサケ / ティラピア / 塩類細胞 / 浸透圧調節 / コルチソル / 広塩性 |
研究概要 |
シロサケやティラピアの鰓には淡水型と海水型の2型の塩類細胞が存在するが、鰓の未発達な胚期・仔魚期においては、体表や卵黄嚢上皮に2型の塩類細胞が分布する。本研究では、塩類細胞のイオン輸送とその機能調節に関わると考えられるNa^+,K^+-ATPaseおよびコルチソル受容体に対する特異的抗体をプローブとして用いることで、塩類細胞のイオン輸送機能とその機構を解明するとともに、塩類細胞の機能的分化の過程を明らかにすることを目的とした。 一般に、魚類が海水に適応する上で、間腎から分泌されるコルチソルが重要なホルモンとして機能している。従って、シロサケ等で見られる海水型の塩類細胞もコルチソルによる調節を受けている可能性が高い。そこで、シロサケ稚魚の鰓におけるコルチソル受容体の分布およびその動態を、免疫組織化学ならびにin situ hybridization法を用いて検討したところ、コルチソル受容体が塩類細胞に分布することが示された。コルチソル受容体遺伝子の発現は、海水型の塩類細胞で淡水型のものよりも高く、コルチソルが海水型の塩類細胞を活性化することで海水適応能を高めていると考えられる。また、未分化な細胞にもコルチソル受容体の発現が見られたことから、コルチソルが塩類細胞の機能的分化に関与している可能性が示唆された。 一方、胚期のティラピアを淡水から海水に移行すると、卵黄嚢上皮に存在する塩類細胞は淡水型から海水型へと変化する。その際の塩類細胞の形態的変化を、レーザースキャン顕微鏡を用いることで連続的に観察することに成功した。その結果、淡水中では単独に存在していた小型の塩類細胞(淡水型)が海水移行に伴い、その周りにアクセサリー細胞を発達させ海水型の細胞複合体を形成する過程を見事に取られることができた。このことは、淡水型の塩類細胞が海水にさらされると海水型へと機能を切り替えることを明確に示している。
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