研究課題/領域番号 |
10660180
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大塚 攻 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (00176934)
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研究分担者 |
西田 周平 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (70134658)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2000年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | カイアシ類 / デトリタス / 肉食者 / 植物プランクトン / Tortanus / Macandrewella / Cephalophanes / ハルパクチクス目 / ハルパクチフス目 / 甲殻類 / 近底層 / レンズ / Neocalanus / 性的二型 / 珪藻類 / 禍鞭毛藻類 / 中海 / Oithona |
研究概要 |
1.沿岸性カラヌス目Tortanus(Atortus)亜属は主にOithona属などの小型カイアシ類を捕食する肉食者であるが、昼間に集群形成が観察された。この集群形成の意義は、魚類などの視覚的捕食者からの捕食回避ばかりでなく、餌となる小型カイアシ類の集群を容易に発見するためでもあると推定された。 2.大陸棚縁辺部の近底層に生息するカラヌス目Macandrewella属は主に甲殻類の死骸・脱皮殻を摂食する特殊なデトリタス食者であった。本属は頭部先端中央部に1つのレンズを持っているが、同様な摂餌生態を持つ中深層性カラヌス目カイアシ類Cephalophanes属の頭部にある特殊なパラボラ状眼との機能的類似性が示唆された。つまり、甲殻類の死骸などに付着する発光バクテリアの検知器官の可能性がある。 3.浅海近底層性カラヌス目Pseudodiaptomus属、Pseudocyclops属は底生性の珪藻類、渦鞭毛藻類を活発に摂食していることが明らかになった。また、海底洞窟性Ridgewayia stygiaは甲殻類破片を摂取していた。 4.肉食者である深海性カラヌス目Euaugaptilus属の第2小顎および顎脚上の「button seta」と呼ばれる特殊な刺毛を機能形態学的に解析した。これは、餌動物の動きを押さえるショックアブソバーの機能を持ち、確実に餌を把握するための構造と考えられる。 5.浮遊性ハルパクチクス目Euterpina acutifrons、Microsetella norvegica、Aegisthus mucronatusの消化管内容物を調査した結果、いずれも4〜15μm程度の小型植物プランクトンが主要なものであったが、A.mucronatusだけは甲殻類の破片などの動物プランクトンも高頻度で検出された。 6.カラヌス類の主要な摂餌用付属肢である第2小顎および顎脚の長さの体長に対する比について、汽水性沿岸性、外洋性種あわせて85種で調査を行った。外洋性肉食者の一部に限り、それぞれの付属肢の比が30%以上(Candaciidae)、40%以上(Euchaetidae、Chiridiella属)と、相対的に極めて長い付属肢を備えていた。しかし、どちらの付属肢が長くなるかはタクソンごとに異なり、付属肢のエレメント(棘、刺毛、感覚毛)もタクソンごとで異なっている。これは外洋という貧栄養環境で餌動物を効率よく摂取するための適応と考えられ、さらに肉食者の中でも食資源分割があることを示唆する。粒子食者に関しては生息域を問わず、各付属肢の比はほぼ5〜15%、10〜40%であった。
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