研究課題/領域番号 |
10660190
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
田中 彰 東海大学, 海洋学部, 教授 (90138636)
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研究分担者 |
大竹 二雄 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (20160525)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1999年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1998年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 板鰓類 / 平衡砂 / 元素組成 / 誘導結合プラズマ発光分光分析装置 / エネルギー分散型X線分析装置 / 系統類縁関係 / 生態 / クラスター解析 / 誘導結合プラズマ発光分析装置 / 元素分析 / 生態学的応用 |
研究概要 |
板鰓類11目24科54種421個体、全頭類ギンザメ4個体から平衡砂を取りだし、これらの標本のうち、46種103個体の平衡砂をプラズマ発光分光分析装置を用いてCa, P, Mg, Sr, Baの5種の元素の含有量を測定した。また一部の試料についてはエネルギー分散型X線分析装置(EDX)で試料表面の元素分析を行った。多くの種の平衡砂は白色を呈していたが、ノコギリザメ、カスザメ、ネコザメ、シビレエイ目の3種では黒い粒子を多量に含んでいた。多くの種の平衡砂の重量は0.01〜0.5gの範囲にあり、クロトガリザメの大形個体では6.43gにもなり、種により大きく異なり、成長に伴い増加した。上記の黒い粒子を含まない種では平衡砂1g当の各元素の含有量はCaで192〜359mg、Mgで5mg以下、Srで4〜6.3mg、Baで0〜17μgで、各元素のmol分率はCaが93%以上、Mgが0.1〜0.9%、Srが1.6〜1.9%、Baが0.002%以下であった。一方、黒い粒子を含む平衡砂を持つ種ではCa濃度は32mg/g以下、Mg濃度は2.09〜4.96mg/g、Sr濃度は0.23mg/g以下、Ba濃度は0〜50.71μg/gとなり、mol分率においてもPの値が黒い粒子を含まない種と大きく異なった。黒い粒子をEDXで分析すると鉄を多く含む粒子と鉄の他にチタンを含む粒子が確認された。また、イオウと鉄とからなる硫化鉄も確認された。このほか、黒い粒子を含む平衡砂にはEDXの分析でケイ酸塩が含まれていることが解った。Ca含有量に対するPの含有量の割合はナヌカザメ、ホシザメ、アカエイ、ホシエイ、シロシュモクザメ、エイラクブカで成長に伴い減少傾向を示した。他の元素においても若干減少傾向を示す種があった。このCa含有量に対する他の4元素の含有量(Ca濃度比)を元に群平均法を用いて各種の類似度をクラスター解析すると黒い粒子を含む6種は多種と大きく異なり、他にカスザメとネコザメは6種の中でも大きく異なった。また、黒い粒子を含まないがハナザメは多種と異なり、独立したグループとなった。これは、ハナザメのPとMgの濃度が多種に比べ著しく大きいためと考えられた。これらの7種を除く39種ではクラスター解析により大きく5つのグループに分けられた。 グループの種組成は主として系統類縁関係を反映するが、系統とは無縁の構成も見られ、食性や棲息場所との関連性も示唆された。また、鉄やチタンを含む理由についてはさらに黒い粒子の構成物質を異なる分析機器で明らかにするとともにそれらの起源について調査し、生物学的な意味を検討し明らかにされるであろう。
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