研究概要 |
研究成果報告書(A4版209頁)に示した研究実績の概要は次のとおりである。(1)平成8〜10年度の中央酪農会議の『酪農基礎調査』等を利用して経産牛飼養頭数規模階層間の推移確率行列を推計し,マルコフ過程の分析法によって平成10年度から20年度までの全国9農区別の生乳生産とその産業構造の将来予測を行い,従来の傾向と異なり北海道を除いた都府県の全地域のほぼ全階層で規模縮小の動きが優勢な状況がみられる点を指摘した. (2)大蔵省『貿易統計』を利用して,生乳換算でみたわが国の乳製品輸入の現状と拡大傾向を明らかにし,中央酪農会議の関係資料と総務庁『家計調査年報』を利用して,牛乳乳製品の商品分類とその市場区分を行い,商品別地域別にわが国の牛乳乳製品の需要動向を分析しかつその需要関数を推計し,需要構造の地域差とその要因を明らかにした. (3)平成11年2〜3月の関東ブロック内9都県の指定生乳生産者団体および中央酪農会議に対する聞き取り調査資料等に基づいて,クーラーステーションと乳業工場の立地配置および集送乳路線に関して,その現状と合理化へ向けた関係者の取り組みを明らかにし,合理化の可能性とその課題を明らかにした. (4)中央酪農会議の『生乳流通全国一斉調査』や既存の関係統計資料を用い,上述(3)の研究結果も考慮に入れ,わが国の近年の乳業工場立地配置の動向と牛乳乳製品の製造品目からみた乳業工場の類型を明らかにした.また関東ブロックにおける417のクーラーステーションや集乳路線直送点から101の乳業工場への最少費用ネットワークフローモデルを作成し,本研究で開発したパソコンプログラムを利用してその最適解を求めた.さらにその最適解を分析して乳業再編下における集送乳合理化の方向に関する考察を行った.
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