研究課題/領域番号 |
10660221
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
農業経済学
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研究機関 | 東京大学 (2000) 神奈川大学 (1998-1999) |
研究代表者 |
松本 武祝 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (40202329)
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研究分担者 |
篠田 隆 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (20187371)
中村 平八 神奈川大学, 経済学部, 教授 (10078280)
後藤 晃 神奈川大学, 経済学部, 教授 (70012987)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 農村組織化 / 戦間期 / 国民国家の形成 / 植民地・従属国 / 国民国家形成 / 農民組織化 / アジア・中東農業 / 戦間期農業 |
研究概要 |
両大戦間期において、アジア・中東地域では工業と都市化がその緒につくとともに、農業・農村問題が顕在化していった。当該地域の国家権力は、植民地権力であれ、従属独立国であれ、人口の圧倒的多数が居住する農村部を統合するための諸制度を用意し、国家による組織化を試みた。 本研究では、主として、植民地であった朝鮮と従属独立国であった中国・イランを研究対象として取り上げた。地域ごとの特徴を略述すると以下のようになる。 1)イランにおいては、1906年立憲革命後も地方都市在住の大地主による農村社会の政治的・経済的な支配が続いた。1930年代には国家主導による工業化政策が実施されるが、その際、地主層を介して農業余剰が輸入代替工業部門に投資されるシステムが形成されていった。 2)中国では,国民党によって国民国家建設が試みられるが、都市部での工業化政策は列強の干渉によって歪められ、農村には過剰人口が滞留した。伝統的な資源配分慣行の機能不全により農村の社会秩序は動揺を来す。やがて、土地改革を通じて農村の社会秩序を再編していった中国共産党がヘゲモニーを獲得した。 3)植民地朝鮮では、伝統的な地方有志層が農村社会の中で影響力を保持し続ける一方で、新たに学歴を得た階層が地方の末端行政を担当するなどして発言力を強めてゆくことになった。戦時統制期には、後者の役割がいっそう強化されていった。 ところで、中東にとって、第一次大戦の終結は帝国主義の終わりの始まりを意味したが、東アジアにとっては、日本による帝国主義的再編の始まりであった。こうした地政学上の違いが、イランと中国の国民国家形成過程の相違となって反映した。エタティズムの成立という点で、イランが中国に先んじえた所以である。この時期、東アジアにおいては、むしろ植民地朝鮮においてエタティズムの基礎が形成されたといえる。
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