研究概要 |
本研究では新規農用地造成並びに土地の開発行為により発生する土壌流亡・土砂濁水の改善に対し,土壌流亡抑止並びに人工フィルター材と水質浄化材による処理効果について検討を加えた. 土壌流亡抑止を水質浄化剤であるPAC(ヒドロキシアルミニウム)を用いて実験を行い検討した.フィルター材としては化学繊維質のみならず,水質浄化材として使用されているゼオライト,活性炭等を用いて濁水処理効果について評価した. 高透水性の人工フィルター材でもこれを様々に組み合わせることでかなりの懸濁浮遊物質が除去できると考える.しかしフィルター材の空隙の閉塞状態は透水性とフィルター吸着性が背反的な事象であるために,人工フィルター材を用いた浄化処理には自ずと限界があると思われる.水質浄化材とフィルター材を組み合わせた人工フィルターは,既存の沈砂池等の施設と組み合わせることで,効果的に土砂濁水を処理することができると考える. 塩類土壌の降雨シュミレータ実験より,クラストは,高いESPを有する土壌ほど早く形成される.その形成により流出土量の粒径組成は,原土の粒径組成に近づく傾向にある.浸透水量・流出土量ともに塩類による影響が認められることが分かった. 水田土はPACを使用することで団粒化が促進される.また非排水せん断強さが増加することで雨滴の衝撃力による団粒破壊を防止する.しかし,PACはその濃度を濃くすればするほど効果的というわけでなく,ある一定の濃度を越えると効果が上がりにくくなる傾向にある.水田土にPACを添加することは,土壌の透水性,排水性の向上,砕土性の改善が期待できる.
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