研究概要 |
本研究は飛行機を利用した地表温度観測とその延長上で沖縄本島北部地域の水収支解明に取り組もうという2段構えの目標から始めた。前段には赤外線放射温度計から得られる地表面温度は有効な情報を与えるかという未解決な問題がある。後段には実用的な水収支についての知見の社会的な要請がある。そういう視点から前段については、大気透過率と放射率補正法の定式化を考えること、熱収支モデル計算で得られる地表面温度との照合から検証すること、の2点から研究をすすめた。 また、実測の河川流量及び降雨量をもとに流出解析を行って流域蒸発散量の推定を行い上記推定値と比較した。 本研究で得られた暫定的な成果をまとめると、 1.飛行機観測により1999年の冬日(2月7日)、夏日(7月13日)、初冬日(12月10日)の3日について正午頃の北部一帯の平均温度(変動幅)はそれぞれ18.0℃(6.3℃)、30.4℃(8.3℃)、19.5℃(7.6℃)であった。大気透過率/放射率補正後の地表面温度は3〜4℃程度高い傾向が得られた。 2.1997年について熱収支モデルを用い水収支の解析を行った結果、沖縄本島北部地域の年降水量は2,220mm、年間蒸発量は1,070mmであり、約50%が流出量であることがわかった。 3.河川流出解析による流域蒸発散量の推定は、2河川(奥川、ウイヌ川)について行った。奥川流域の1997年の年降水量は2,154mmで、年間蒸発散量は1,100mmであり、流出率は49%を得た。熱収支モデルで求めた値と近似することがわかった。 4.熱収支モデルは森林地域における水収支に有効であることが明らかになった。
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