研究分担者 |
田島 淳 東京農業大学, 地域環境科学部, 講師 (30188239)
加藤 雅義 東京農業大学, 地域環境科学部, 講師 (20078223)
吉村 正敬 東京農業大学, 地域環境科学部, 助教授 (30078141)
樹野 淳也 東京農業大学, 地域環境科学部, 助手 (40297594)
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研究概要 |
本研究では、タイ東北部のような塩類土壌地域において,太陽エネルギーによる農業用水を取得する方法として,太陽熱蒸留システムに着目し研究を行った。太陽熱蒸留システムでは、蒸発効率を向上させるためには,蒸発部と凝縮部を分離し温度差を大きくすることが有効であると推測し,蒸発部と凝縮部を分離させたシステムを開発した。このシステムでは,蒸発部で発生した湿り空気を有効に利用するため,凝縮部である土壌に直接送気し凝縮させる。この凝縮方法を水蒸気灌漑と呼ぶこととした。 現地調査,及びプロトタイプによる基礎実験を行い,次のような結論を得た。 (1)凝縮装置の実験より、凝縮量は湿り空気と凝縮槽との温度差に関係し指数関数的に増加することが認められた。 (2)湿り空気と凝縮部の温度差を大きく保つことが重要であり,そのためには,湿り空気の温度を上げることや,凝縮部の温度を下げることが考えられる。湿り空気の温度を上げるためには,熱損失を極力少なくする工夫や集熱器などと組み合わせることが有効と思われる。また,凝縮部の温度を下げるためには太陽電池駆動のペルチェ素子による冷却や,土壌深部の低熱源の利用が有効と思われる。 (3)以上のような問題点を解決し得れば,塩類を多量に含んだ溜池水の脱塩が効率よく行うことができ,農業への有効利用が図れるであろう。さらに、地下水位を制御する太陽電池駆動の排水ポンプなどと組み合わせ,さらに塩に強い植生による地下被覆を行うことによりタイ東北部のような塩類土壌の修復に役立つことが期待される。
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