研究概要 |
乾燥地・半乾燥地における農業および生活用水確保のため,太陽エネルギー直接利用による高効率的な塩水淡水化システムを開発することを目的として実験的・理論的研究を実施した。 研究結果は以下の通りである。 1.水盤型ソーラスチルにおいて,被覆材種類および源水の相違が集水量に及ぼす影響を実験的に検討した。最大集水効率は,無滴性ポリエステルフィルム使用時に示され,最低効率の有滴性ポリエステルフィルムに比べ約44%の増量となった。また,源水に3.5%濃度の塩水を使用した場合,水道水の場合に比較して約10%集水量は減少した。 2.ソーラースチル水盤から蒸発促進方法について実験的に検討を加えた。水盤への超音波付加により造水量は10〜20%増加し,水盤表面への日射吸熱膜の設置により造水量は約20%増加し,また蒸発面積拡大部材の付設により造水量が約35%増加するとの効果を示した。 3.水盤型ソーラースチルにおける非定常熱収支解析に基づき,自然環境条件ならびに装置設計要素によるシステムの造水性能を検討した。とくに,日射ピーク値の高い日射変動パターンの場合,および外気温が高い場合の方が造水量が増大することを示した。 4.熱拡散多重(3段)効用型装置のモデル実験より,本装置による単位面積あたり造水量は水盤型の約7倍となる高い効率を示した。 以上の結果を総合報告書として取りまとめた。
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