研究概要 |
森林と大気の間で物質や熱の交換には組織的なコヒーレント運動が重要な役割をはたすことが推定されているが,この研究では野外観測によってそれを確かめ,どの様な組織運動が卓越するか,その運動はいかにガス交換に貢献しているかを明らかとすることを目的とした.測定には樹高が約15mのヒノキ林内にある高さ23mの鉄塔を用いた.塔頂部には,風向に向く長さ3mのアームを取り付け、その両端につけた細線熱電対から乱流要素が通過する時間を求めたそのサイズを把握することを試みた。また5高度に細線熱電対を設置して乱流組織の鉛直構造をとらえた。頂部には超音波風速計、オープンパスの二酸化炭素・水蒸気変動を設置した。1年目の測定は11月の晴天日の日中に行った。組織乱流は基本的には対流プルームであった。水平スケールが数十mから数百mで,移動速度は風速よりも速い場合が多かった。これは組織として移動するため、上空の風速に引っ張られていることが原因と考えられる。プルームが森林群落内部までどの程度浸透するかを気温変動から見た結果、林床までは達していないが林床から5m程度の高さまでは影響が及んでいることがわかった。 第2年度には対流プルームの構造について内部の輸送機構を詳細に調べるため1次元超音波風速温度計を3台自作し,対流プルームの中で熱だけでなく運動も明確に繋がり輸送に組織として貢献していることを確かめた.また、対流プルームによって組織的に二酸化炭素や水蒸気が運ばれていることもわかった。なお,組織運動によるガス交換は針葉樹林だけだなくマングローブのような形態の異なる森林でもガス交換に重要な役割を担っていることもわかった
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