研究概要 |
未利用資源活用を目的として毛ケラチンと皮コラーゲンから複合材料を調整することを目的として本研究を2年間実施し,初期の成果を得た。平成10年度:1.豚毛をジチオスレイトール(DTT)を用いて還元した後、亜硫酸ナトリウムと4チオン酸ナトリウムで処理して収量約60%で可溶化S-スルホケラテインを得た。化学的特徴づけはSDS-PAGE,アミノ酸分析,IRスペクトル分析をで行った。2.得られた可溶化ケラチンをミクロフィブリル成分Bpとマトリックス成分Bsに分画することができた。両画分の特徴づけはSDS-PAGEとアミノ酸分析で行った。3.Bp又はBsにDTTを反応させることにより結合しているS-スルホン酸基の一部を脱離して可溶性部分還元Bs,Bpを調整することができた。この反応の確認をキャピラリイ電気泳動分析で行った。平成11年度:1.得られた各種可溶性ケラチンの溶液をコラーゲン溶液と氷冷下で混合してから昇温することにより繊維を形成させ,繊維形成速度と形成されたゲルの強度を測定した。その結果Bsの溶液に対して重量比で1/10のDTTを使用して調製した部分還元Bsをコラーゲン溶液に対し,タンパク量比で1/10添加混合して繊維形成を行ったときに,強度の強い(対照の2倍以上)ゲルを調製することができた。2.更に同様の方法でBpの溶液に対してに対して重量比で50倍量のβ-メルカプトエタノールを使用してケラテイン溶液を調製し,この溶液とコラーゲン溶液とをタンパク量比1:4で混合し,キャスト法で乾燥膜を調製した。その結果コラーゲン,ケラチンいずれの単独膜よりも引っ張り強度が強い複合膜を調製することができた。3.以上の研究の結果SS/SH交換能を持つコラーゲン・ケラチン複合材料が得られた。
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