| 研究概要 |
ラットでは,後部帯状皮質(29野)から視床前核群および視床背外側核への投射の部位対応関係を明らかにした.29野から視床前核群への投射には,29野吻側部は両側性に視床前核群尾側部に対応し,29野尾側部は同側性に視床前核群吻側部に対応するといった部位対応関係があることがわかった.29野から背外側核への投射は同側性で,29野吻側部は背外側核腹内側部に,29野尾側部は背外側核のより背外側の領域に対応することがわかった.
ウサギでは,後部帯状皮質の一部である乏顆粒性膨大後皮質(29d野)の皮質視床投射を解明した.29d野は,内側前核および腹側前核腹側部,前腹側核吻側部,外側腹側核背側部,背外側核腹内側部,外側後核腹側部,外側中心核に投射する.このうち,内側前核への投射が両側性である他はすべて同側性であった.これらの投射のうち視床前核群および前腹側核への投射には,29d野の吻-尾軸がそれらの視床核の尾-吻軸に,また,背外側核,外側後核,外側腹側核への投射には,29d野の吻-尾軸がそれらの視床核の腹内側-背外側軸に対応するような部位対応関係があることがわかった.
サルでは,後部帯状皮質尾腹側部に位置する尾腹側23b野と,その領野に隣接し脳梁より背側に位置する背側23b野と,29/30野それぞれの領野の視床皮質投射および皮質視床投射を検索した.尾腹側23b野は,視床前核群,背外側核,外側腹側核,内側枕核と相互結合する.背側23b野もほぼ同様の視床核と相互結合する.一方,29/30野は主として視床前核群と相互結合する.以上の結果,尾腹側23b野と背側23b野はともに辺縁系性視床核および多感覚性視床核と結合するのに対し,29/30野は主として辺縁系性視床核と結合することがわかった.
本研究で解明したこれらの線維連絡は,学習・記憶といった高次神経機能の解剖学的基盤をなすものと考えられる.
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