研究課題/領域番号 |
10660280
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
新井 克彦 東京農工大学, 農学部, 助教授 (60175940)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 癌 / MMP / インテグリン / シグナル伝達系 / がん / 転移 |
研究概要 |
昨年までに、イヌ乳がん由来細胞株のSCIDマウスへの移植実験により作成した肺転移モデルを用いて、原発巣と肺転移巣におけるMMP-2およびMMP-9の発現動態を解析した。その結果、肺転移巣において、原発巣では検出されないMMP-9の大量発現が起きていることを確認した。このことから、肺転移巣形成にはこのがん細胞のMMP-9発現能獲得が重要であると考えられた。さらに、このがん細胞の単層培養系およびコラーゲン・ゲル内培養系でのMMP-9発現を比較したところ、単層培養系ではMMP-9発現は全く観察されないにもかかわらず、コラーゲン・ゲル内培養を行うことによりその強い発現を確認した。この結果は、このがん細胞が肺転移過程においてコラーゲンと相互作用を行うことによりMMP-9発現能を獲得していることを意味している。本年度は、このがん細胞のMMP-9発現のメカニズムについて、コラーゲン・ゲル内培養系を用いることにより、がん細胞のコラーゲン認識機構とMMP-9発現との相関関係に関与するシグナル伝達系の解明を試みた。その結果、以下の点について新たな知見を得た。 (1)本研究で用いたイヌ乳がん由来細胞株においては、コラーゲン・ゲル内培養下でα2インテグリンを発現することがMMP-9発現と関連していると考察され、このことは抗α2インテグリン抗体存在下でゲル内培養を行うことでMMP-9発現が抑制される、という結果から証明された。 (2)種々のシグナル伝達系の阻害剤をコラーゲン・ゲル内培養系に添加することにより、MMP-9発現を抑制する阻害剤を検索したところ、コラーゲン・ゲル内におけるMMP-9発現にはチロシンキナーセ、PI3キナーゼおよびプロテインキナーゼCの関与が明らかになり、MAPキナーゼカスケードとは無関係であることが分かった。また、MMP-9発現と細胞によるコラーゲンゲル収縮との間に明らかな相関が見られたことから、アクチンの重合がMMP-9発現へ影響を及ぼしていることが推察された。
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